これまでVLANの全体像、ポートベースVLAN、タグVLANと3回にわたって解説をしてきたVLANですが、今回のL3スイッチの解説でVLANの範囲は学習が終わりになります。

長かったー!



よく頑張りましたね。
L3スイッチはレイヤー3、つまりOSI参照モデルにおける第3層である「ネットワーク層」の機能を持った機器です。これはTCP/IPモデルで言うところの「インターネット層」に該当します。



あれ?じゃあもっと後の学習内容を先取りしているってこと?



そうですね。なので、今回は簡単な説明をして、またインターネット層の学習の際に詳しく扱います。
それでは、L3スイッチについて簡単に学習をしていきましょう。
L3スイッチとは
L3スイッチ(レイヤー3スイッチ)とは、OSI参照モデルにおける第3層、つまりネットワーク層の機能を持つスイッチです。
通常のスイッチングハブ(L2スイッチ)はデータリンク層(レイヤー2)でMACアドレスを基にパケットを転送しますが、L3スイッチはそれに加えてIPアドレスを用いたルーティングも行うことができます。
これにより、異なるネットワーク間のデータ転送を実現することが可能です。
※ルーティングとは、ネットワーク上のパケットを、目的地まで最適な経路を選んで送り届ける仕組みのことです。これにより、データを送信元から目的地まで最も効率的に届けることができます。L3スイッチはこのルーティング機能を持つことで、異なるVLAN間の通信を可能にしています。



L3スイッチの登場により、スイッチングハブをL2スイッチとも呼ぶようになりました。



へええ。通常のスイッチングハブ(L2スイッチ)だと、異なるVLAN間のデータのやりとりは不可能でしたよね。





ところがL3スイッチを使うと、異なるVLAN間でのデータのやりとりが可能になるのです。


L3スイッチを使用することで、ネットワーク全体の設計が柔軟になり、より効率的なネットワーク構成を実現できます。
たとえば、企業ネットワーク内で複数のVLANを運用する場合、それぞれのVLANを独立したネットワークとして扱いながら、必要に応じてVLAN間での通信を可能にすることができるのです。
このようにして、セキュリティやパフォーマンスを保ちながら、効率的にネットワークリソースを利用することが可能になります。
VLAN間ルーティング
L3スイッチは、複数のVLAN間でデータを転送する機能を持っています。
VLANはそれぞれが独立したネットワークとして動作するため、通常は異なるVLAN同士で直接通信することができません。
たとえば企業内で営業部と経理部が別々のVLANに分けられている場合、通常はこの二つの部署間で直接通信することができません。
しかし、L3スイッチを使うことでVLAN間のルーティングを行い、異なるVLANに属するデバイス同士の通信が可能になります。
これにより、各VLANはセキュリティと独立性を維持しながら、必要に応じて連携することができるのです。
つまり、L3スイッチは異なるVLANをつなげる「橋渡し」の役割を果たし、企業内で部署間のデータのやり取りを効率化するのに大いに役立ちます。
このようにして、企業は部門ごとにネットワークを分離しながらも、必要な情報の共有や協力をスムーズに行うことができるようになります。
まとめ
L3スイッチは、ネットワークの設計と効率化において重要な役割を果たす機器です。
特に、複数のVLAN間でのルーティングを可能にすることで、異なる部署やネットワークセグメント間の通信を効率化しながら、セキュリティと独立性を維持することができます。
このように、L3スイッチはネットワークを柔軟かつ効果的に運用するための強力な武器となります。



これでVLANの学習はおしまいです。



ありがとうございました!



次回の学習が楽しみです!