前回からインターネット層の学習に入り、IP(インターネットプロトコル)やIPアドレスについて触れてきました。

難しかったです……。
今回の学習では、特にIPアドレスについて深掘りをしていきます。
インターネット層の通信では、ネットワークを超えた通信が可能になりますが、ネットワークを超えない場合もあるはずです。



たしかに、同じ家の中にいる家族にLINEをする時とかもありますもんね。
どのようにして「ネットワークを超えるか/超えないか」を判断しているのかを学び、また、前回軽く触れた「ネットワーク部」と「ホスト部」というIPアドレスの構成についても改めて学習します。



今回の内容はなんとかついていけそうな気がします……!



では、頑張って学習していきましょうね!
ネットワークアドレスとホストアドレス
ネットワークアドレスとは、ネットワーク全体を指し示すアドレスのことで、同じネットワーク内のデバイスは共通のネットワークアドレスを共有しています。
一方、異なるネットワークは異なるネットワークアドレスを持つため、ネットワークアドレスが異なれば別々のネットワークであることがわかります。



ネットワークを超えるか超えないかは、ネットワークアドレスを見ればわかるんですね!
一方、ホストアドレスはそのネットワーク内で各デバイスを一意に特定するための部分を指します。



同じ家の中で、自分のスマホと兄のスマホを見分けるのはホストアドレスの役目なんですね。
このネットワークアドレスとホストアドレスを組み合わせることで、IPアドレス全体が構成されています。





しかし、ここで注意したいのが、どこまでがネットワークアドレスでどこからがホストアドレスなのかがわからないということです。





ネットワークアドレスが何オクテットなのかは決まっていないのですね。



それを決める方法がいくつかありますので、順番に見ていきましょう。
IPアドレスとクラス
IPアドレスができた当初は、ネットワークを効率的に管理するために「クラス」という仕組みが採用されていました。
IPアドレスはクラスA、クラスB、クラスC、クラスDに分類され、それぞれのクラスによってネットワーク部分とホスト部分の割り当てが異なっていました。
クラス | ネットワークアドレス | ホストアドレス | 先頭ビット | 用途 |
---|---|---|---|---|
クラスA | 8ビット | 24ビット | 0 | 大規模ネットワーク向け |
クラスB | 16ビット | 16ビット | 10 | 中規模ネットワーク向け |
クラスC | 24ビット | 8ビット | 110 | 小規模ネットワーク向け |
クラスD | 32ビット | なし | 1110 | マルチキャスト |
このように、IPアドレスのクラスによってネットワークアドレスとホストアドレスの長さが異なり、それぞれの用途に応じた柔軟な管理が可能でした。
しかし、クラスごとの制約によってIPアドレスの割り当てが非効率になることがあり、現在ではクラスレスアドレッシング(CIDR:サイダー)が一般的に使用されています。
プレフィックス
プレフィックスとは、IPアドレスのネットワーク部分を示すためのビット数を指定する方法です。
通常、プレフィックスは「/」に続けてビット数を記述することで表されます。
たとえば「192.168.1.0/24」という表記では、「/24」がプレフィックスであり、この場合、IPアドレスの先頭24ビット(3オクテット)がネットワーク部分であることを示しています。



この場合は24ビット=3オクテット分の「192.168.1」がネットワーク部ということですね。



どこまでがネットワーク部でどこからがホスト部なのか、すごくわかりやすいですね。
プレフィックスを使うことで、簡潔にネットワーク部分とホスト部分を指定することができます。
特にCIDRでは、プレフィックス表記が主流となっており、クラスに依存せず、ネットワークをより柔軟に分割することが可能です。
CIDRでは、必要なホスト数に応じてネットワークのサイズを細かく調整することができ、IPアドレスの利用効率を向上させることができます。



このようにプレフィックスを利用することで、IPアドレスの管理が簡潔かつ効率的に行えます。
CIDRの導入により、従来のクラスベースのアドレッシングの制約が解消され、より柔軟でスケーラブルなネットワーク設計が可能になりました。
サブネットマスク
サブネットマスクとは、IPアドレスの中でネットワーク部分とホスト部分を区別するために使用されるビットの配列です。
サブネットマスクは通常、255.255.255.0 のような形式で表され、ネットワーク部分を「1」、ホスト部分を「0」で示しています。


たとえば、IPアドレス「192.168.5.10」とサブネットマスク「255.255.255.0」がある場合、サブネットマスクの「255」の部分はネットワークアドレスを示し、「0」の部分はホストアドレスを示します。


これにより、IPアドレス内でネットワークとホストの部分が明確に区別され、ネットワークの管理が効率的に行えます。
サブネットマスクを使用することで、1つの大きなネットワークを複数の小さなサブネットに分割することが可能です。
これにより、ネットワーク全体のトラフィックを減らし、セキュリティも向上させる効果があります。
また、サブネットに分割することで、異なる部門や用途ごとにネットワークを分けることができ、ネットワーク構成が柔軟になります。



たとえば、サブネットマスク「255.255.255.192」を使用すると、元のネットワークをさらに細かく分割し、サブネットごとに最大62台のホストを持つことができます。
このように、サブネットマスクはネットワークの規模や用途に応じて柔軟に調整することができ、効率的なIPアドレス管理を実現するために重要な役割を果たしています。
まとめ
ネットワークを効率的に管理するためには、IPアドレスの仕組みや、それを分割・管理するための手法について理解しておくことが重要です。
IPアドレスのクラスやプレフィックス、サブネットマスクの仕組みを学ぶことで、ネットワークを柔軟かつ効率的に設計・運用することが可能になります。
特に、CIDRの導入により、クラスに縛られることなく必要に応じてネットワークを分割できるようになり、IPアドレスの利用効率が飛躍的に向上しました。
これらの知識をしっかりと身につけることで、ネットワークスペシャリスト試験の合格に向けた確かな土台を築くことができるでしょう。