ストレージ

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私たちの生活やビジネスにおいて、日々扱う情報は膨大な量にのぼります。

テキストや画像、音声、動画、アプリケーションデータなど、デジタル情報はあらゆる場面で生成され、それらを安全かつ効率的に保存・管理する必要があります。

こうした情報の取り扱いに欠かせない存在が「ストレージ」です。

パソコンの中にも、SSDはHDDが入っていますよね。

ストレージにはさまざまな種類や接続方法があり、それぞれ特性や用途が異なります。

この記事では、ストレージの基本的な役割から、接続方式やネットワーク構成に応じた分類(DAFS、NAS、SAN)まで、現代のIT環境において重要なストレージ技術の仕組みを詳しく解説していきます。

目次

ストレージとは

ストレージとは、データやプログラムを保存・保持するための装置や仕組みの総称です。

コンピュータやスマートフォン、サーバなどの情報機器には必ずストレージが組み込まれており、OS(オペレーティングシステム)やアプリケーション、ユーザーデータなどを永続的に記録します。

これにより、電源を切っても大切な情報が失われることなく保持され、日常の業務や個人利用において欠かせない存在となっています。

要はデータを記録しておく媒体ですよね。

ストレージの種類や接続方法は多岐にわたり、使用する目的や環境によって最適な方式が異なります。

性能や信頼性、拡張性、コストなどの観点から選定する必要があり、ITインフラにおいては極めて重要な構成要素のひとつです。

たとえば、USBケーブルやSATAケーブルなどでコンピュータ本体に直接接続して使うタイプのストレージは「DAFS(Direct Attached File System)」と呼ばれます。

石田先生

これは最も基本的で直感的なストレージ形態であり、個人のパソコン、外付けハードディスク、ポータブルSSD、USBメモリなどで広く利用されています。

DAFSはシンプルかつ高速なアクセスが可能で、ネットワークを介さずに直接読み書きが行えるため、データ転送の遅延が少なく、安定性も高いという利点があります。

また、運用管理が比較的容易であるため、個人ユーザーだけでなく、小規模な業務用途にも適しています。

NAS(Network Attached Storage)

NASは、ネットワークに直接接続されるタイプのファイルサーバで、ストレージ専用機器にネットワーク機能が搭載された形態です。

個々の端末にストレージを設けるのではなく、複数のユーザーがネットワーク越しに共有フォルダのようにアクセスできるため、利便性が高く、特にデータの共有や保管に適しています。

石田先生

ファイル単位でのアクセスが基本であり、写真や文書、動画などのデータを複数の端末間でスムーズに取り扱うことができます。

NASは主に家庭内ネットワークや企業内LAN環境で導入され、バックアップの一元管理やファイル共有に加え、メディアサーバや監視カメラ映像の保存先としても活用されます。

特に中小企業にとっては、コストを抑えながらも業務効率を高める手段として非常に有効なソフトウェアです。

さらに、RAID構成を利用すれば、冗長性を高めてデータの保護も実現可能です。

RAID(Redundant Array of Independent Disks)とは、複数のハードディスクやSSDを組み合わせて、ひとつの論理的なストレージとして扱う技術です。

加えて、NASは多くの場合、専用のOS(例:Synology DSMやQNAP QTS)を搭載しており、ユーザーはブラウザ経由で設定やアクセス制御、ユーザー管理などを直感的に行うことができます。

ITに不慣れなユーザーでも扱いやすそうですね。

また、インターネット経由でアクセスできるタイプのNASは「オンラインストレージ」とも呼ばれ、Dropbox、Googleドライブ、OneDriveといったクラウド型ストレージサービスも広義にはNASの概念に近いものです。

これらはモバイル端末や外出先からのアクセスを可能にし、場所を問わずデータのアップロード・ダウンロード・共有が行える点が特徴です。

結果として、リモートワークやチーム作業、ファイルの自動同期といった現代の働き方にも柔軟に対応できる重要なストレージ基盤として位置づけられています。

SAN(Storage Area Network)

SANは、ストレージとサーバを専用の高速ネットワークで接続する構成を指します。

これは、単なるファイル共有ではなく、OSが直接ディスク領域を制御・管理できる高度な仕組みであり、特に高い性能と信頼性が求められる場面で活用されます。

NASのようにLAN経由でファイル単位にアクセスするのではなく、SANではブロック単位でデータをやり取りします。

石田先生

これにより、データベースのI/O処理や仮想マシンのストレージ要求などにもスムーズに対応でき、極めて高速で柔軟な運用が可能になります。

NASとSANとでは、サーバから見たときのストレージの見え方が異なります。

NASは「ファイル共有」としてアクセスするのに対し、IP-SANはOSからはローカルディスクのように認識されます。

SANは主に企業向けの大規模なシステムに利用されます。

高性能なストレージ環境が求められる、業務停止が許されない重要なシステム(いわゆる基幹業務システム)や、仮想化基盤、クラスタ構成のサーバ群などで特に有効です。

さらに、SANはストレージ資源の一元管理を可能にするため、運用効率や拡張性の向上にも寄与します。

石田先生

たとえば、複数のサーバから同じストレージに同時アクセスできるため、冗長構成や負荷分散、スナップショット機能との連携も容易になります。

SANには主に以下の2つの規格があります。

ファイバーチャネル(Fibre Channel)

ファイバーチャネルは、光ファイバーを使った専用の高速通信技術で、エンタープライズ用途において長年にわたり信頼されてきました。

アプリケーション層ではSCSI(Small Computer System Interface)プロトコルを採用し、トランスポート層ではFCP(Fibre Channel Protocol)を用います。

この構成全体は「FC-SAN」と呼ばれ、極めて低いレイテンシと高スループットを実現できます。

データセンターや金融機関など、高速性と安定性を両立させる必要がある環境に最適です。

IP-SAN

IP-SANは、より一般的なIPネットワーク(LANやWAN)を利用して構築されるSANの一種です。

IP-SANは、FC-SANと異なり、通常のLNAケーブルを使います。その意味ではNASと似ています。

アプリケーション層にはiSCSI(Internet Small Computer Systems Interface)を使用し、トランスポート層はTCP/IPで構成されます。

IP-SANはファイバーチャネルよりもコストが抑えられ、既存のネットワークインフラを活用できる点が利点です。

中規模企業や予算制約のあるプロジェクトでも導入しやすく、近年はクラウドとのハイブリッド構成にも対応する柔軟性が注目されています。

まとめ

ストレージは、私たちの暮らしやビジネスを支える、なくてはならない情報基盤のひとつです。

USBで直接接続するDAFS、ネットワークを通じてファイルのやり取りができるNAS、そして高速かつ高信頼な環境を構築できるSANなど、それぞれに異なる特徴と役割があります。

DAFSは操作が簡単でスピードも速く、個人のパソコンや小規模業務に適しています。

NASは複数人でのファイル共有や、バックアップ・メディア管理に便利で、中小企業でも導入しやすい点が強みです。

SANはブロック単位でアクセスすることでOSレベルでの高いパフォーマンスを実現し、企業の基幹システムや仮想化環境、大規模なデータ処理にも対応します。

それぞれの方式には向き・不向きがあるため、利用目的や求める性能に応じて最適な構成を選ぶことが大切です。

また近年は、クラウドストレージや分散型ストレージと連携したハイブリッド構成も一般的となってきており、柔軟で拡張性のある運用が求められています。

今後もストレージ技術は進化を続け、データの安全性・可用性・効率性をさらに高める方向へと発展していくでしょう。

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