スパニングツリープロトコル(STP)は、ネットワーク内でループが発生しないようにするために利用されてきたプロトコルです。
午前試験、午後試験ともに出題される可能性が高い分野ですので、しっかりと学習することが大切です。
しかし、STPにはいくつかの欠点があり、特にブロッキングポートの決定に時間がかかる(数十秒程度)という点が大きな問題とされています。
そのため、実際には使われておらず、代わりにRSTPとMSTPという技術が使われています。今回の記事では、これらについて学習していきましょう。
スパニングツリーの欠点
STPでは、ネットワーク内のスイッチが、どのポートを無効(ブロッキング)にするかを決めるためにブリッジIDという情報を比較していきます。

前回の記事で学習したところですね!
この過程で、ネットワークの構造が変わったことを検出し、ループを防ぐための設定に変更するのに時間がかかることがあります。
具体的には、ループが見つかった後、各ポートがデータを転送できる状態(フォワーディング)やブロッキングの状態に切り替わるまでに、スイッチがBPDU(Bridge Protocol Data Unit)という情報をやり取りして最適なルートを見つける必要があります。
このプロセスは最大で50秒ほどかかる場合があり、その間ネットワーク全体が不安定になってしまうことがあります。



それでは困りますよね。
このように、STPの遅延が原因でネットワーク全体の通信が一時的に停止してしまう可能性があるため、現在ではSTPよりも高速にループ防止を行えるプロトコルであるRSTP(Rapid Spanning Tree Protocol)やMSTP(Multiple Spanning Tree Protocol)、あるいはリンクアグリゲーションやSDN(Software Defined Networking)技術が利用されることが一般的です。
ここからは、RSTPとMSTPについて詳しく説明します。
RSTP(Rapid Spanning Tree Protocol)とは
RSTP(Rapid Spanning Tree Protocol)は、STPを改良したプロトコルであり、IEEE802.1D-2004で定義されています。
RSTPは、ネットワーク内でのトポロジー変化に迅速に対応することができ、従来のSTPと比べてはるかに短い時間(通常1~3秒程度)でポートをフォワーディング状態に移行させることが可能です。
この特性により、ネットワークのダウンタイムを大幅に減少させ、より安定した通信が期待できます。
※「トポロジー」とは、ネットワークの構造や接続のパターンを指す言葉です。
つまり、スイッチやルーターなどのネットワーク機器がどのように接続されているか、全体の配置や接続形態を表します。
このトポロジーに変更があった場合、それに対応する必要があるため、ネットワークプロトコルは新しいトポロジーに適応して機器間の通信を維持する役割を果たします。
RSTPでは、ポートの役割と状態がより明確に整理されています。
従来のSTPでは、ループを防ぐために一部のポートが「ブロッキングポート」として動作していましたが、RSTPではこれを「代替ポート」と「バックアップポート」という2種類に分類しています。
「代替ポート」は、現在使用しているパスに障害が発生した際に即座にフォワーディングに切り替えるための予備のパスです。
一方、「バックアップポート」は、同じセグメント内で複数のパスが存在する場合に利用される予備のパスです。



障害が起こった際、代替ポートがすぐにルートポートを引き継ぎ、バックアップポートが代表ポートを引き継ぐのです。
このように、RSTPは高速な応答性能を持ち、ネットワーク内でのトポロジーの変化にも迅速に対応するため、現在の多くのネットワーク環境で広く利用されています。
MSTP(Multiple Spanning Tree Protocol)とは
MSTP(Multiple Spanning Tree Protocol)は、ネットワーク内の複数のVLAN(仮想LAN)を効率的に管理するために設計されたプロトコルです。
元々はIEEE802.1sで定義されていましたが、現在ではMSTPはIEEE802.1Qに統合されています。



VLANについては次の記事で学習をします。
MSTPの特徴は、複数のスパニングツリーをグループ化して扱うことができるということです。
通常、各VLANごとに個別のスパニングツリーを構築すると、管理が複雑になりリソースが無駄になることがあります。
しかしMSTPでは、複数のVLANに対し、1つの複数のスパニングツリーをグループ化(スパニングツリーインスタンス)してまとめて管理することで、ネットワークリソースを効率的に利用できるのです。



うーん、なんだかすごい技術ということはわかるんですけど、よくわからないです。



VLANについて学習をしてから復習するとわかりやすいかもしれませんね。
これにより、ネットワークのトポロジー管理の負荷が軽減され、スケーラビリティ(ネットワークの拡張性)が向上します。
大規模なネットワーク環境や、多数のVLANが存在する環境では、管理の簡素化と効率の良い資源利用が重要です。
MSTPはこの点で特に効果的に機能し、ネットワーク全体の安定性と効率を高めることに貢献します。
まとめ
今回の記事では、ネットワーク内でのループ防止を目的としたスパニングツリープロトコル(STP)と、その改良版であるRSTPやMSTPについて説明しました。
STPはネットワークループを防ぐための基本的なプロトコルですが、その反応速度の遅さが問題となり、現在ではRSTPやMSTPといったより効率的なプロトコルが使われています。
RSTPは、トポロジーの変化に素早く対応し、ネットワークのダウンタイムを最小限に抑えるためのプロトコルで、特にリアルタイム性が求められる通信環境に適しています。
一方、MSTPは、複数のVLANを効率的に管理し、リソースの無駄を減らしながらスケーラビリティを向上させるために有用です。
これらのプロトコルを理解することで、より安定したネットワーク環境を構築し、ネットワーク管理の効率を向上させることが可能になります。



今回学んだ範囲も試験によく出てくるので、しっかりと復習をしてくださいね。